屍鬼(10)/藤崎竜(原作:小野不由美)感想

11月6日、惨劇の夜が明ける――。
医者・尾崎を筆頭に、『屍鬼』を狩る人間達。
もはやその光景は、狩る者と狩られる者との常識が反転する、おぞましき惨状…。命なき肉塊の叫びが外場村に響き渡り、佳境が近付く…。

屍鬼ももう10巻。
あとがきフジリューマンガが次が最終ってあるけど、次で最終巻なのかな?
表紙の赤が夕焼けにも見えるけどどことなく不吉で、中の展開を暗示してるようで上手いなぁ。
月刊といえどジャンプの名前がついてる雑誌で連載されてて大丈夫なのかと、読者が心配になる作品もあまりない気がするw


確かにいっぱい血が出てグロい展開で画的にやばいってのもあるんだけど、それよりも屍鬼が生前と変わりない思考を持っているけど人間を食料とする、それに対抗する為(自衛のため)に「生きている人間達」が顔なじみでもあった「生き返った人間たち」を狩るっていうのは、言わば同族狩りなわけで、それは生物の本能として「やべーよ!」って警鐘が鳴る、そういう怖さ。とても丁寧に話も作ってあるし、フジリュー絵も淡々としてて面白いんだけどとても怖い。主上鬼っすな…


特に印象的だったのが、屍鬼狩りで平等に手を汚すルールを決めて悲鳴や断末魔を聴かないために明るい曲調の歌を歌うところと、加奈美さんの「笑い出したら2度と止まらない気がする」あれが狂気を感じて怖い。狂ってしまったら怖いものはなくなるけれど、そうなってしまったら終わりっていう…だから悲しい。
今まで侵略者や敵だった屍鬼が狩られる者、弱いものになった時に、狩られる屍鬼を可哀相だと思わせるのも、すごく上手いなぁと思う。読者に常識や善悪や正誤を問われてる気になる。そんなものは人それぞれで、共通の答えなんてないものだから、屍鬼の登場人物たちもそれぞれの選択をして様々な結末を迎えるワケだけど…(大抵バッドエンドてどうよ)
そろそろクライマックス近し、みたいなのでマンガ版がどういう結末を迎えるのか楽しみ。
俺、マンガの連載が終わったら原作読むんだ…!