黒子のバスケ/藤巻忠俊 感想

黒子のバスケ 1 (ジャンプコミックス)

帝光中学校バスケ部。
全中三連覇を誇る輝かしい歴史の中でも10年に一人の天才が五人同時にいた世代は「キセキの世代」と呼ばれていた。
そして「キセキの世代」には天才五人が一目置いていた選手がもう一人...幻の六人目がいた―。


アメリカ帰りの荒削りなパワープレイヤー高校生・火神大我。
彼の入学先、誠凛高校バスケ部で出会ったのは、超・地味な少年、黒子テツヤ
バスケは全然上手くないというかむしろ下手、そして存在感もなさ過ぎる黒子に幻滅する火神だったが、彼こそが「影が薄すぎるゆえの、見えないパス回し」を武器とする「キセキの世代」の幻の六人目だった!
火神とともに打倒「キセキの世代」を誓う黒子。『影(黒子)』と『光(火神)』の快進撃が今始まる!

声優ホイホイされてアニメを見たら、面白さとあざとさにまんまとはまり、コミックス全巻揃えちゃったよ。
BDも予約しちゃったし、ドラマCDも買っちゃいそうだし、こんなに1作品にはまるの久しぶりで、今ではファンブックとコミックスの発売がとっても楽しみで仕方ないっていう状態、どうしてこうなった。


アニメは最初
ジャンプアニメ→出来が微妙なのが多い
スポーツアニメ→動かない
バスケアニメ→作画大変
…っていう先入観というかトラウマがあって敬遠してたんだけど、かみやホイホイされて見てみたらクオリティ高くてびっくりした。
作画もテンポも演出もいいし、キャラ絵美麗で動いてるし、わかりやすいし、BGMやSEも良くて、声優もよくわからん声優初挑戦系の舞台俳優とかアイドルいないし、背景美術とかも好きな感じで、これはジャンプでは珍しい恵まれたアニメ化だ!と。あと腐った方面にもきっちりアピールしてるしw
今の技術で本気でスポーツもの作ればちゃんと面白いんだなって…よくわからん感動をして…BD予約して原作も揃えちゃったよ。


アニメから入って原作漫画は初めて読んだんだけど、流石ジャンプで何年も続いてる連載マンガは一気読みすると面白いし、よくできてるなーと。
…大人になってからジャンプマンガを一気に揃えて読む機会があまりなかったので、今読むとアンケ対策やトンデモスポーツ化や打ち切り危機やテコ入れや工夫の跡が見えて別の意味でもおもしろいね…
藤巻先生はこの作品がデビュー作で初連載とのことだけど、1巻→17巻で絵の上達っぷりがすごい…!最早キャラが別人すぎる。黄瀬くんとか特に。


話の展開は10巻ぐらいまでは展開スピーディでいいなって思ってたんだけど、それ以降はそうでもなかった…w
リアル系にしては現実にありえないことが起こるし、トンデモスポーツものとしては全員が能力者ではないという、ギリギリなところを進んでてちょっと歯がゆさがあるw
多分週刊で一回一回読むとインパクトはそこまでないんだろうけど、繋げて読んだときの積み重ねや対比表現や徐々に解明していく過去回想なんかが丁寧に織り込んであって、何回も読み返して発見できる面白さがある。
スルメ系というか、不思議な作品だなーと思う。


全体の構造が把握しやすく作られてることも印象的だった。
最近のスポーツもの(?)には欠かせない、チートで天才な敵ボス5人が全員主人公の元チームメイトっていう構図は割り切りすぎて潔いww
主人公と相棒率いるチームが頑張って強敵と戦い全国制覇を目指すというスポーツマンガとしては基本的な柱に加えて、主人公の元仲間・敵ボス5人との過去の因縁と、そいつらを倒して主人公のバスケ論で改心させていくという部分が話の中で大きいのが目新しい気がする。こんなに回想が楽しみなスポーツマンガもそうないような。


チーム戦ものだと、毎回勝つたびに更なる強敵が現れて、1から強いぞすごいぞアピールとチームの特色とキャラと人間関係と因縁作り開始って展開になるけど、この作品の場合は強敵=ほぼ昔の知り合いなので、そのキャラ中心にチームの特色が作られてるし、元から知り合いなので主人公とドラマはあるしで、若干の箱庭感はあるもの、目的も到達度もわかりやすい。5人倒せば全国制覇だし、要は「××がやられたようだ」「奴は四天王の中で最弱…」展開でもあるんだけどwジムリーダー全員倒してバッチを集めとポケモンリーグに行けるようなシステマチックなわかりやすさ…いやなんか違うな。


わかりやすい目標と、スピーディな展開と、あとキャラクターとその関係性が魅力だと思う。
黒子がスポーツマンガの主人公とは思えないキャラで、その立て方に成功してるのもすごい。
主人公なのにモノローグが一切ないとか。パスにその大ゴマ!?そして次のシュートのコマちっちゃ!とかちょっとおもしろいw
段々普通に活躍するようになってくのはちょっと残念…多分タイトルの意味が「黒子(裏方)のバスケ」から「黒子(名前)のバスケ」に変わって行ってるんだろうけど。
アニメの黒子はあざとさを感じるくらいかわいい。
相棒の火神くんはきっと20年位前のジャンプだったら主役だったろうに…と思う。溢れる彼氏力。


黒子の元いた帝光中学のスタメン「キセキの世代」が伝説の最強超チート集団。ドリームチームが過去にあるっていう設定はもうずるいよね。
あんなにキャラの濃い連中で強敵だし、黒子的には一応道を分かったような感じなのに、いざ再会すると意外と仲良しで普通に友達なところがわたし的にはとてもポイント高い!
全国制覇を賭けて戦う各敵チームのエース5人が中学生の時同じチームで、意外と仲良く部活したり、昼食一緒に食べたり、一緒に下校して買い食いしてたりするなんて素敵!
地味に新鮮でもあった。下手すると敵としての格が落ちちゃうからあんまない展開だよね…


その中でまた元相棒やら、憧れやら、尊敬やら色々あるのもとても美味しい。関係性大好き。
皆天才だし性格的にはそこまでいい子達じゃないんだけど、基本主人公ageなのでいい奴らに見えるマジック。
基本このマンガは、作品全体でキセキage>キセキが黒子age>黒子が相棒ageな構図の気がする。


何らかの事情で皆別々の道を選んで、敵対するって現在っていうのもとてもいいよね。
バスケの試合なのになんでこいつらこんなに関係性に執着してるんだろうとちょっとびっくりする時があるけど。
黒子は青峰好きすぎる気がする…わたしが腐ってるからそう見えるだけなのかな…。
とにかく相棒以外の他チームメイトの絆より、元チームメイトとのドラマの方が濃くて驚く。現チームメイトがモブのようだ。
ただ倒れた時手を差し伸べるのは昔のチームメイトじゃなく、今の仲間なんだよね。


主人公はじめ個性的な面々もいるけど、トンデモスポーツものにしては絶対こいつ高校生じゃねーよ!ってキャラはギリいないし、あんまり突飛なキャラがいないのがいいのかなぁと思う。
キャラ付けとキャラとプレイが一貫性あるし。
まぁあまりにも過去のチームメイトの関係性とドラマが厚いし謎もあるし魅力的なので、それ以外のチームの繋がりが今イチ面白みに欠けるなぁ…とはちょっと思うけど、能力やキャラ付けはインフレを起こさないこの辺がちょうどいいのかもしれない。
読んでて高校生っていいなー友情とか部活とか青春だなぁって眩しく思う。いやほんとに。


あと読み込んでくと色々細かい発見があって面白い。
黒子=影だから元帝光中のキセキの面々の名前が色=光で、虹は7色だけど5色だと赤、黄、緑、青、紫になるんだとか。加法混色。
火⇔氷で対比だったり、今彼元彼…もとい元相棒と現相棒の描写を敢えてダブらせてあったりとか、それぞれのキャラの変化とか、読み返すと意外と緑間っちいい奴だなとかw


WC終わったらドリームチームで世界編か過去編やってくれればいいのになー。SQ辺りに移籍してでも。とても見たい
キセキーズ+黒子+火神+氷室なんかは背番号が見事に被ってないらしいのでワンチャンあるといいな。
とりあえずアニメで黄青戦と青黒2戦目が見たい。
あと赤司@神谷さんの試合が見たいけど、原作でもやっと次が初試合なレベルなので(顔判明するのが13巻)アニメ人気が一過性じゃなく長く続いてくれるといいな。



黒子のバスケ 1 [Blu-ray]
バンダイビジュアル (2012-07-27)
売り上げランキング: 108